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令和7年度 税制改正
【令和7年度 税制改正】中小企業・個人事業主が押さえておきたい税目別ポイント解説
3月31日に令和7年度の税制改正が正式に決まりました。今回の改正は、物価高への対応や人手不足対策、デジタル化推進、そして事業承継支援など、中小企業や個人事業主の経営に直結する内容が数多く盛り込まれています。
この記事では、税目ごとに実務への影響が大きいポイントを整理しました。制度を知ることで、経営の選択肢が広がり、節税や資金対策にもつながります。ぜひご参考ください。
【1】所得税|“働き方”と“資産形成”に関わる重要改正
▶ 103万円の壁 → 実質123万円に
パート・アルバイトの扶養内就労で意識されていた「103万円の壁」が、実質的に123万円まで引き上げられました。
・基礎控除:48万円 → 58万円
・給与所得控除(最低保障額):55万円 → 65万円
これにより、年収123万円までは所得税がかからず、従業員がより柔軟に働ける環境が整います。
💡事業者にとってのポイント:
短時間労働者のシフト制限が緩和され、人手不足対応や繁忙期の戦力確保がしやすくなります。
▶ 大学生年代のアルバイト等への「特定親族特別控除」の新設
19歳~22歳までの大学生年代の子等が給与収入150万円(合計所得金額85万円+給与所得控除65万円)まで働いても、親が特定扶養控除と同額の63万円の所得控除が受けられ、また、合計所得金額が85万円を超えた場合でも親が受けられる控除の額が段階的に逓減する仕組みが導入されます。(配偶者特別控除と同じ仕組みです)
💡事業者にとってのポイント:
学生バイトにとって「働きすぎによる扶養からの離脱」の心配が減り、安定的な雇用の確保がしやすくなります。
▶ 勤労学生控除の要件緩和
勤労学生控除の所得要件が、従来の75万円から85万円へ引き上げられました。
結果として、学生アルバイト本人も所得税がかかりにくくなり、実質的な手取りが増加します。
▶ iDeCo(個人型確定拠出年金)の拠出上限引上げ
個人事業主を含む自営業者等のiDeCoの月額拠出上限が、7,000円上乗せされます(年額84,000円相当)。
iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象となり、受け取る際のiDeCoの老齢給付金は原則として60歳以降に「年金」「一時金」「年金と一時金の併用」のいずれかの方法で受け取ることができ、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」の対象に、一時金の場合は「退職所得控除」の対象になります。
税制上有利な扱いとなっておりますので節税と老後資金の形成を両立させたい方には朗報です。
【2】法人税|中小企業の成長と設備投資を支援
▶ 軽減税率(15%)の2年延長
中小企業者等の法人税の軽減税率の特例(年800万円以下の所得金額に適用される法人税率15%の軽減措置)について令和9年(2027年)3月31日までに開始する事業年度について適用されることとなりました。
💡ただし、所得金額が年10億円を超える法人は現行の15%から17%に引き上げられ、グループ通算制度の適用を受ける通算法人は対象から除かれます。
▶ 中小企業経営強化税制が拡充(建物も対象に)
これまで対象外だった「建物」も、一定条件を満たせば投資減税の対象となります。
対象例:
・店舗の改装・移転
・工場の新設
・地域資源を活かした施設整備 など
💡事業者にとってのポイント:
設備投資の計画がある場合は、減税制度の活用でキャッシュフローの改善が可能です。
【3】相続税・贈与税|事業承継のハードルを下げる改正
▶ 事業承継税制の要件緩和
法人・個人問わず、後継者が贈与の直前に役員や事業従事者であれば要件を満たすとされ、従来よりも柔軟に。
💡実務ポイント:
「まだ経験が浅いから…」と承継を先延ばしにしていた企業でも、早めの承継を検討しやすくなりました。
▶ 結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置の延長
相続税対策にも使われるこの制度が、2年間延長(令和9年(2027年)3月31日まで)されました。
ライフステージに応じた資産移転を検討中の方には引き続き活用の余地があります。
【4】消費税|免税制度の見直しと電子商取引への対応強化
▶ 外国人旅行者向け免税制度が「リファンド方式」に
現在の購入時免税から、**出国時返金型(リファンド方式)**へ移行します。
加えて、包装義務や購入上限も廃止され、手続きが簡素化されます。
💡インバウンド関連事業者の方へ:
免税販売のオペレーションが変更されるため、早めの制度対応が求められます。
✅ まとめ|「制度を知る」ことで選択肢が広がります
今回の改正は、単なる税率変更にとどまらず、働き方・設備投資・事業承継・納税手続きなど、経営のあらゆる局面に関わってきます。
制度は「知っている」だけでも大きな差になります。
・設備投資を検討している方
・後継者への承継を迷っている方
・扶養制度や働き方に悩んでいる方
ぜひ、このタイミングで制度を見直し、使える支援策は積極的に活用していきましょう。
ご不明点や制度活用のご相談がありましたら、お気軽にご連絡ください。
制度を味方につけて、今年も一歩先を行く経営を実現しましょう!
(注)本内容は、投稿時点での法令・情報等に基づき作成されたものです。
現在の状況とは異なる可能性があることを予めご了承ください。