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第4回 経営者のための会計入門 ~管理会計の実践②——「4つの視点」で業績を上げるKPI管理~

資金(キャッシュ)の安全が確保できたら、次は業績を伸ばすための管理会計です。今回は、売上や利益といった「結果の数字」だけを追う経営から脱却し、業績を持続的にコントロールするための「KPI管理」について解説します。


ポイント① 「結果の数字」だけを追う経営の落とし穴

売上や利益といった財務の数字は、あくまで過去の行動の「結果(遅行指標)」に過ぎません。結果の数字だけを目標に掲げて現場に圧力をかけると、短期的な売上を作るために過度な値引きに走ったり、目先の利益を出すために社員の教育訓練費や設備のメンテナンス費を削ったりと、長期的には組織が疲弊しサービスの質が低下してしまいます。

業績を持続的にコントロールするためには、結果の数字を見るだけでなく、その結果を生み出すための「行動指標(KPI:重要業績評価指標=先行指標)」を設定し管理することが必要です。


ポイント② 「バランスト・スコアカード(BSC)」の4つの視点

財務指標だけでなく先行指標を含めて複合的に業績を管理する優れたフレームワークが「バランスト・スコアカード(BSC)」です。業績を以下の「4つの視点」からバランスよく評価します。

① 学習と成長の視点 従業員のスキルアップ・ITの活用・モチベーション向上を図る
② 内部プロセスの視点 業務効率・サービスの品質・納期の短縮などを改善する
③ 顧客の視点 業務改善により顧客の満足度やリピート率を高める
④ 財務の視点 その結果として売上・利益・キャッシュフローが向上する

「従業員が成長する(学習と成長)→業務が改善される(内部プロセス)→顧客が満足する(顧客)→利益が出る(財務)」という因果関係のストーリーを描くことが重要です。


ポイント③ 中小企業でのBSC活用——シンプルに始めることが大切

BSCは大企業向けの難しいフレームワークに見えるかもしれませんが、中小企業では「各視点に1〜2個のKPIを設定する」だけでも十分な効果があります。

たとえば、「新規顧客の訪問件数(学習と成長)」「クレーム件数(内部プロセス)」「リピート率(顧客)」「営業利益率(財務)」というシンプルな4指標を毎月追うだけで、結果の数字だけを見ていた経営から大きく前進できます。それぞれの段階で具体的な数値目標を設定し、社員の行動を未来の成果へと導くことこそが、強い組織を作る管理会計の極意です。


まとめ

業績を持続的に伸ばすためには、財務指標(遅行指標)と行動指標(先行指標)をセットで管理する習慣が不可欠です。BSCの4つの視点を意識しながら、自社に合ったシンプルなKPIから始めてみてください。

戦略会計の実践・3つの会計の総括など、引き続き実践的なテーマを今後の記事で順次取り上げていく予定です。引き続きご覧いただけますと幸いです。