お知らせ NEWS
令和8年度 税制改正
【令和8年度 税制改正】中小企業・個人事業主が押さえておきたい税目別ポイント解説
遅くなりましたが、2026年3月31日に令和8年度の税制改正が正式に成立し、主要な改正内容が確定しました。
今回の改正は、物価高への対応や「強い経済」の実現を掲げ、中小企業や個人事業主の経営に直結する内容が数多く盛り込まれています。
この記事では、税目ごとに実務への影響が大きいポイントを整理しました。
制度を知ることで、経営の選択肢が広がり、節税や資金対策にもつながります。ぜひご参考ください。
【1】所得税|働き方・資産形成への影響が大きい改正
▶ 課税最低限が160万円 → 178万円へ引き上げ
税金がかかり始める金額、いわゆる「課税最低限」が引き上げられます。
令和7年度改正で103万円から160万円へ引き上げられた流れの中で、令和8年度税制改正大綱において、さらなる引き上げが盛り込まれました。
これは、以下2つの控除額が見直されることによるものです。
・基礎控除
・給与所得控除
💡 年収178万円以下の方は、所得税がかからない計算になります。
■ 適用時期について
令和8年分の所得税から適用されます。
ただし実務上は、
・月々の給与(源泉徴収)への反映は令和9年1月から
・令和8年分については、年末調整でまとめて調整される見込み
となります。
■ 扶養への影響
扶養判定に係る所得基準についても、58万円から62万円へ引き上げられます。
■ 実務上の注意点
税金と社会保険は別制度です。
所得税の扶養判定と、社会保険上の扶養判定は異なるため注意が必要です。
▶ マイカー通勤・食事補助の非課税枠の拡大
長年据え置かれてきた、マイカー通勤手当や食事補助の非課税上限額が引き上げられます。
マイカー通勤手当については、各通勤距離区分ごとの非課税限度額が引き上げられます。
(令和8年4月1日以後に受けるべき通勤手当から適用)
また、会社からの食事補助については、
・従業員負担額の上限
3,500円 → 7,500円
へ引き上げられます。
さらに、深夜勤務に伴う夜食代についても、
・1回300円 → 650円
へ非課税上限が拡大されます。
💡 物価上昇に対応した実務的に嬉しい改正です。
▶ NISAのつみたて投資枠の拡充
NISAのつみたて投資枠について、対象年齢を0歳まで拡大する方向性が盛り込まれました。
子どもが0〜17歳の間の枠組みは、以下のとおりです。
・年間投資枠:60万円
・非課税保有限度額:600万円
18歳になると、通常の大人向けNISA制度へ自動的に移行します。
💡 子どもの将来資金(大学進学等)を早期から準備できる制度として活用できます。
■ 注意点
12歳以降は、子ども本人の同意を得た場合のみ親が払い出し可能となります。
また、つみたて投資枠の対象商品には、
・国内株式指数に連動する投資信託
・債券比率が高い投資信託
なども追加されます。
▶ 暗号資産が分離課税へ
暗号資産の税率が大きく変わります。
これまで暗号資産の利益は「雑所得」として総合課税の対象となり、所得によっては最大55%の税率となるケースもありました。
今回の改正では、一定の暗号資産について、将来的に分離課税(20%)へ移行する方向性が示されました。
株式等と同様の分離課税方式となるイメージです。
また、
・損失の3年間繰越
も可能となります。
💡 暗号資産投資家にとっては非常に大きな改正です。
■ 注意点
この改正は、金融商品取引法等の整備が前提となっています。
対象となる暗号資産の範囲や施行時期については、今後の法整備を確認する必要があります。
【2】法人税|中小企業の設備投資・賃上げに関わる改正
▶ 賃上げ促進税制の見直し
「賃上げをした場合に法人税が安くなる制度」について、企業規模ごとに扱いが分かれます。
・大企業
→ 令和8年度をもって廃止
・中堅企業
→ 要件強化のうえ継続(令和9年3月末まで)
・中小企業
→ 現行制度を維持
💡 中小企業にとっては引き続き重要な節税制度です。
▶ 少額減価償却資産の特例見直し
中小企業向けの少額減価償却資産特例について、上限額が引き上げられます。
現行:30万円未満
改正後:40万円未満
さらに、制度は3年間延長されます。
パソコンや備品などについて、一括経費化しやすくなる改正です。
💡 物価上昇を踏まえた、実務的にありがたい改正といえます。
■ 注意点
年間300万円までという上限は変更ありません。
【3】消費税|インボイス制度の見直し
▶ インボイス発行事業者の2割特例の見直し
2割特例終了後について、個人事業者向けに「3割特例」が設けられます。
具体的には、
👉 納税額を売上消費税額の3割とできる経過措置
が2年間設けられることとなりました。
■ 実務上の重要ポイント
① 課税方式の選択
・本則課税
・簡易課税
のどちらを選択するかで納税額が変わるケースがあります。
💡 一度選択すると、原則2年間変更できません。
② 免税事業者の判断
インボイス登録を継続するかどうかも重要な判断となります。
③ 価格転嫁
消費税分を価格へ転嫁できるかどうかは、利益に直結します。
特に小規模事業者では重要な論点となります。
▶ 免税事業者からの課税仕入れに係る経過措置の見直し
免税事業者からの仕入れに係る税額控除について、経過措置が見直されました。
控除割合は、今後段階的に縮小されます。
・令和8年10月1日〜令和10年9月30日
→ 70%控除
・令和10年10月1日〜令和12年9月30日
→ 50%控除
・令和12年10月1日〜令和13年9月30日
→ 30%控除
💡 免税事業者との取引が多い会社ほど影響が大きくなります。
■ 注意点
適用時期によって控除割合が異なるため、経理処理には注意が必要です。
また、一の免税事業者からの課税仕入れの合計額について、
・10億円 → 1億円
へ基準が引き下げられます。
そのため、取引先が免税事業者である場合には、取引金額にも注意が必要です。
【4】相続税・贈与税|事業承継・不動産に関わる改正
▶ 事業承継税制の期限延長
事業承継税制について、計画提出期限が延長されます。
・法人版
→ 特例承継計画:令和9年9月末まで
・個人版
→ 個人事業承継計画:令和10年9月末まで
💡 ただし、この制度はあくまで時限措置です。
「延びたから安心」ではなく、早めの検討をおすすめします。
▶ 貸付用不動産の相続税評価の見直し
市場価格と相続税評価額の乖離を是正する方向で見直しが行われます。
令和9年1月1日以後について、
相続開始・贈与前5年以内に取得または新築した一定の貸付用不動産について
👉 路線価等による評価ではなく、通常の取引価額等を基礎とした評価方法へ見直されます。
💡 いわゆる「不動産を利用した相続税対策」に影響する可能性があります。
✅ まとめ|制度を知ることで選択肢が広がります
今回の改正は、
・働き方
・設備投資
・資産形成
・事業承継
・インボイス対応
など、中小企業や個人事業主の実務に大きく関わる内容となっています。
制度は「知っているだけ」でも、大きな差になります。
・設備投資を検討している方
・インボイス対応に悩んでいる方
・事業承継を考えている方
・扶養や働き方を見直したい方
ぜひこの機会に制度を確認し、活用できるものは積極的に利用していきましょう。
ご不明点や制度活用のご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
(注)本内容は、投稿時点での法令・情報等に基づき作成しております。
現在の制度内容とは異なる可能性がありますので、予めご了承ください。


