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第3回 事業計画書の心臓部 ~「ビジョン・事業概要」で読み手の心を掴む書き方~
事業計画書の冒頭にある「ビジョン」や「事業概要」。あなたはここを「単なる挨拶文」や「自分の熱い思いを語る場所」だと思っていませんか?
実は、金融機関や投資家といった読み手は、最初の数行で計画書全体への印象が大きく左右されると言われています。読み手は最初からあなたの事業に強い関心を持っているわけではなく、むしろ「本当に大丈夫か?」という疑いの目を持っています。
今回は、その疑いの壁を乗り越え、最初の数行で「このビジネスは面白そうだ」「ぜひ話を聞いてみたい」と読み手を前のめりにさせるための、表現の工夫と書き方のコツを解説します。
冒頭で読み手を突き放してしまう「3つのNG」
まずは、読み手が「この計画書はダメだ」と判断してしまう典型的なパターンを知っておきましょう。
- 何を売ろうとしているのかわからない(専門用語ばかりで難解)
- 話が大きすぎて怪しい(抽象的な夢物語ばかり語っている)
- 儲かるビジネスになる「におい」がしない(事業としての現実感がない)
これらを避け、読み手の頭の中に「儲かりそうで、社会の役に立つビジネスの映像」をくっきりと浮かび上がらせるための3つのポイントを紹介します。
読み手の心を掴む「表現の工夫」3つのポイント
ポイント① 専門用語を捨て、業界外の人にもわかる言葉で書く
融資や出資を判断する読み手は、あなたの業界の専門家ではありません。自分の技術やサービスの凄さを伝えようとするあまり専門用語を多用すると、相手は理解を諦めてしまいます。
「この分野に詳しくない家族や友人が読んでも、『なるほど、それはすごいね!』と直感的にイメージできる言葉で書く」ことを意識してください。技術的なスペックよりも、「それによって顧客がどれほど役立ち、喜ぶか」を伝えることが重要です。
ポイント② 「機能」ではなく、「誰の痛みを、どう解決するか」を描く
「〇〇という機能を持つアプリを開発します」といった機能説明に終始してはいけません。説得力のある事業概要をつくるには、以下の4つの要素を意識して表現するのが効果的です。
| ミッション | 実現したい理想の世の中 |
| 顧客のメリット | その人のどんな痛み・不便が解決するのか |
| コアエッセンス | 自社の商品・サービスの価値を一言で表すと何か |
| 自社の強み | 他社にはない独自の強み |
たとえば、「整体・治療院を開業します」と書くだけでは何も伝わりません。しかし「デスクワークで慢性的な肩こりや腰痛に悩むビジネスパーソンが、週1回の施術で痛みを気にせず仕事に集中できるようサポートします」と表現するだけで、誰の悩みをどう解決し、社会にどう役立つのかが具体的にイメージでき、説得力がぐんと増します。さらに「整形外科での10年の勤務経験を活かし、医学的根拠に基づいた施術を行います」といった自社の強みを添えれば、「なぜこの人に任せるべきか」まで伝わります。
ポイント③ ただの「夢物語」にせず、現実感を持たせる
「5年後に世界中の人を幸せにする」といった壮大すぎるビジョンは、かえって読み手に不安を与えます。夢を語ることは大切ですが、それと同時に「1〜2年後の明確な事業イメージ」をしっかりと書き込むことが鍵です。
市場の構造がどう変化しているから今がチャンスなのか、自社のアプローチでいかに現実的に事業を立ち上げようとしているのかという「客観的な事実」と「ビジネスセンス」を冒頭に少し混ぜ込むだけで、読み手は安心してその後のページを読み進めることができます。
なお、融資を目的とする場合は、ビジョンは魅力的に語りつつ、その後に続く数値計画は手堅く保守的に組み立てることが大切です(第7回で詳しく解説します)。
まとめ
冒頭のビジョン・事業概要は、自分の言いたいことを書く場ではありません。「業界外の読み手の頭の中に、具体的なビジネスの成功イメージを描かせる」ための最大のプレゼン領域です。
3つのNGを避け、4つの要素を意識した表現に磨き上げることで、計画書全体の評価は大きく変わります。ぜひ第三者の目線で読み返してみてください。
事業計画書の各論について、今後の記事でも順次取り上げていく予定でおります。引き続きご覧いただけますと幸いです。
※本記事は掲載時点の法令・税制・各種制度に基づいて作成しています。その後の改正や制度変更等により、記載内容が現状と異なる場合があります。個別の融資・補助金・税務のご判断については、必ず顧問税理士等の専門家にご相談ください。

