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第3回 経営者のための経営分析実践 ~会社の「稼ぐ力」を正しく測る収益性分析のポイント~
今回からは、決算書の数字を使って自社の健康状態をチェックする「経営分析」の実践に入ります。最初のテーマは、会社がどれだけ効率よく儲けているかを測る「収益性分析」です。
ポイント① 利益の「額」ではなく「率」に注目する——売上高営業利益率
「今期は1,000万円の利益が出た!」と喜んでいても、売上が1億円の会社と売上が5,000万円の会社では、その意味合いが全く異なります。会社の稼ぐ力を正しく比較するためには、利益の「額」ではなく「率」を見ることが重要です。
その代表が「売上高営業利益率」です。売上高に占める営業利益の割合を示すもので、この数字が高いほど、本業で効率よく稼ぎ出す組織や仕組みができている(組織力が高い)と評価できます。
売上高営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高 × 100
改善・活用のポイント
売上高営業利益率が低い場合、原因は大きく2つです。「粗利率が低い(売上総利益率の問題)」か、「販売費・一般管理費が多すぎる(コスト構造の問題)」かのどちらかです。まずPLを段階的に確認し、どの段階で利益が削られているかを特定することが改善の第一歩になります。前期比や同業他社との比較で、異常値がないかを定期的にチェックする習慣をつけましょう。
ポイント② 会社のすべての財産をどう活かしたか——ROA
売上に対する利益率だけでなく、「会社が持っているすべての財産(総資産)をどれだけ上手に使って利益を出したか」を測ることも重要です。これを「ROA(総資産利益率)」と呼びます。
ROA = 経常利益 ÷ 総資産 × 100
いくら利益が出ていても、無駄な在庫や使っていない設備(遊休資産)などの「稼がない資産」を大量に抱え込んでいると、このROAは低くなります。ROAが高い会社は、手持ちの資産をムダなくフル活用して利益を生み出している筋肉質な会社と言えます。
改善・活用のポイント
ROAを改善するアプローチは「分子(利益)を増やす」か「分母(総資産)を減らす」かの2方向です。利益を増やすには収益性の改善、総資産を減らすには不要な資産の処分・売掛金の早期回収・過剰在庫の削減などで現金を生み出し、それを借入金の返済(圧縮)に充てることが有効です。資産を現金化しただけでは「資産が姿を変えるだけ」で総資産の総額は変わりません。現金化したお金で借入金を返済することで、資産と負債が両方減り、初めて総資産が減少してROAが向上します。長年使っていない設備や回収の見込みが薄い売掛金が眠っていないかBSを点検し、「会社を身軽にする(総資産を減らす)」ことを意識してみてください。
ポイント③ 自分が投じたお金がどう増えたか——ROE
もう一つ、世の中で最もポピュラーな経営指標に「ROE(自己資本利益率)」があります。返済不要の自己資本(社長や株主が出したお金と過去の利益の蓄積)を使って、どれだけ効率よく利益を稼ぎ出したかを示す指標です。
ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
ROEが低い会社は、資産の使い方や利益の生み出し方について、経営のやり方そのものを見直す必要があるかもしれません。一方で、ROEは借入を増やすことで数値上は上昇しますが、それは財務リスクの増大を意味します。「利益を増やしてROEを高める」という健全な方向性を意識することが重要です。
改善・活用のポイント
中小企業においてROEを高める最も現実的な方法は、利益率の改善と内部留保の有効活用です。稼いだ利益をただ積み上げるのではなく、収益を生む投資(設備・人材・IT化など)に積極的に回すことで、自己資本の生産性が高まります。また、ROEは毎期の利益率と自己資本の推移を合わせて見ることで、経営の健全性をより立体的に把握できます。
まとめ
収益性分析の3つの指標——売上高営業利益率・ROA・ROE——はそれぞれ異なる角度から「稼ぐ力」を照らし出します。数字を計算して終わりにするのではなく、「なぜその数字になっているのか」「どう改善するか」まで考えることが経営分析の本来の目的です。まずは自社の数字を算出し、前期比と合わせて変化の傾向を確認してみてください。
安全性分析・キャッシュフロー分析・生産性分析など、引き続き実践的な経営分析の手法を今後の記事で順次取り上げていく予定です。引き続きご覧いただけますと幸いです。

