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第4回 事業計画書に書く市場分析・競合分析とは? ~中小企業・創業者向けの現実的な書き方~

事業計画書の中で、「市場分析」や「競合分析」のページにさしかかると、急に筆が止まってしまう方は少なくありません。

「官公庁の難しい統計データをたくさん並べなきゃいけないの?」「正確な市場規模なんてわからない…」と難しく構えていませんか?

実は、金融機関の担当者や投資家は、中小企業やスタートアップに対して、シンクタンクが作るような壮大なマクロ分析や、1円単位の正確な未来予測など最初から求めていません。今回は、背伸びしすぎない「身の丈に合った現実的な分析」で、読み手をしっかり納得させる書き方のコツを解説します。


市場分析の書き方:「正確な予測」より「確かな肌感覚」

市場分析の目的は、「このビジネスには十分に儲かるチャンス(市場の大きさ)がある」ということを客観的に示すことです。

コツ① 壮大な「マクロ」より、足元の「ミクロ」で語る

「日本全体の〇〇市場は数兆円規模で…」といった大きなデータも背景としては役立ちますが、それだけではあなたの会社の売上にどう直結するのかが見えません。

中小企業や店舗ビジネスにとってより重要なのは、「自社が出店・展開する近傍マーケット(ミクロ市場)」です。たとえば、「出店予定地から半径〇kmの商圏人口」「最寄り駅の乗降客数」「周辺のファミリー層の割合」といった、身近で具体的なデータを示す方が、ずっと現実的な説得力が増します。

コツ② 「これくらいの人が、いくら使いそうか」を計算する

市場規模を難しく考える必要はありません。「ターゲットとなる顧客は自分の商圏に何人(何社)いるか」「その人たちは、その悩みを解決するために現在年間いくらくらいお金を使っているか」——この2つを掛け合わせるだけで、大まかな仮説が立てられます。

正確な数字がわからなくても構いません。「大胆に前提条件を置いて推定する」ことが大切です。ビジネスセンスのある「肌感覚の数字」が示せれば、まずは合格点です。

コツ③ 「なぜ今なのか?」を水面下の不満で示す

どんなに成熟した市場に見えても、ビジネスチャンスは必ずあります。「なぜ今この事業をやるのか?」を裏付けるには、水面下で高まっている「顧客の不満」や「構造変化」を指摘するのが有効です。

「既存のサービスに不満を持っている層が〇〇人いる」「法改正により、〇〇という新たなニーズが急増している」といった変化のエネルギーを伝えることで、「だから今がチャンスなのだ」という強いメッセージになります。


競合分析の書き方:素人が見て「勝てる!」と思わせる

競合分析の目的は、「強敵がいる中で、どうやって自社が選ばれるのか」を証明することです。

コツ④ 「間接競合(代替品)」を忘れない

ライバルを挙げる際、同じ商品・サービスを扱う「直接競合」だけでなく、顧客の同じニーズを満たす別の手段である「間接競合(代替品)」も必ず考慮してください。

たとえば、新しい宅食サービスを立ち上げる場合、競合は他の宅食業者だけでなく、「近所のスーパーやコンビニの惣菜」や「外食・飲食店」も顧客の同じニーズを満たす強力なライバルになります。顧客がこれまで何にお金や時間を使っていたかを考え、最低でも3社程度の競合をピックアップしましょう。

コツ⑤ 素人が「これなら勝てそう!」と直感できる比較表を作る

競合との違いを文章で長々と説明しても、業界に詳しくない読み手にはなかなか伝わりません。最も効果的なのは、「自社と競合のスペック比較表」を1枚作ることです。

縦軸に競合他社、横軸に「顧客が重視するポイント(価格・品質・スピード・アフターフォローなど)」を並べ、自社が勝っている部分に「◎」をつけるなどして視覚化します。「業界外の人がパッと見て、『なるほど、これなら勝てそうだ』と直感的に納得できるか」を基準に、一人よがりにならない比較表を心がけてください。


まとめ

市場分析と競合分析は、難しい学問ではありません。「自分はどこで戦い、誰に、どうやって勝つのか」という極めて現実的な作戦を立てるためのステップです。身の丈に合ったデータを集め、自信を持って自社の優位性をアピールしましょう。

 

事業計画書の各論について、今後の記事でも順次取り上げていく予定でおります。引き続きご覧いただけますと幸いです。