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第4回 経営者のための経営分析実践 ~黒字倒産を防ぐ!安全性とキャッシュフロー分析~

どれだけ効率よく利益を出していても、会社が倒産してしまうことがあります。それが「黒字倒産」です。利益が出ているのに手元のお金が尽きて倒産するケースは、決して他人事ではありません。

今回は、黒字倒産を防ぐための「安全性分析」と「キャッシュフロー分析」について、改善・活用の視点も交えながら解説します。


ポイント① 会社の「体力」を測る安全性分析

会社の支払い能力や財務の安定性を測るのが「安全性分析」です。まずは以下の2つの指標をチェックしましょう。

流動比率(短期の安全性)

流動資産 ÷ 流動負債 × 100

1年以内に現金化できる資産(流動資産)が、1年以内に支払うべき負債(流動負債)をどれだけ上回っているかを示します。この比率が100%を下回っている場合、1年以内に出ていくお金の方が多いため、資金ショートを起こす危険性が高いと言えます。一般的に日本の企業の平均は120%程度ですが、理想としては150%以上あれば短期的な資金繰りは極めて安全とされています。まずは120%を最低ラインとして死守することを目指しましょう。

改善のポイント:流動比率を高めるには、流動資産を増やすか流動負債を減らすかの2方向があります。具体的には、売掛金の回収サイトの短縮・在庫の圧縮・短期借入金の長期借入への切り替えなどが有効です。特に「短期借入を長期借入に借り換える」ことで、流動負債が固定負債に移り、流動比率が改善します。資金繰りに余裕がない時期こそ、早めに金融機関と相談することをお勧めします。

自己資本比率(長期の安全性)

純資産 ÷ 総資産 × 100

会社の全財産のうち、返済不要の自己資本がどれくらいあるかを示します。借入金への依存度が低いほど、不況や金利上昇への抵抗力が強く、倒産しにくい安定した会社と評価されます。一般的に30〜40%以上が健全の目安とされています。

改善のポイント:自己資本比率を高める最も確実な方法は、利益を出して内部留保を積み上げることです。短期的には利益を社外に流出させない(過度な役員報酬・配当の抑制)こと、中長期的には収益性を改善して毎期の利益を積み重ねることが基本です。借入金の返済を進めることも総資産の圧縮につながり、比率の改善に寄与します。


ポイント② 営業キャッシュフローは「プラス」が絶対条件

利益と手元の現金は別物です。利益が出ていても、売掛金の回収が遅れたり、過剰な在庫を抱えたりすればお金は減っていきます。さらに、そこから毎月の「借入金の返済」を行わなければなりません。

そこで重要になるのが「キャッシュフロー(CF)計算書」です。中でも最も重要なのが、本業の営業活動による現金の動きを示す「営業キャッシュフロー」です。会社を続けていくためには、「営業CFがプラスであること」、そして「営業CFの範囲内で借入金の返済を賄えること」が絶対条件となります。借入金の返済は財務CFに分類されますが、その返済原資を本業で稼ぎ出せているかどうかが、会社の存続を左右します。

改善のポイント:営業CFがマイナスまたは利益に対して著しく小さい場合、主な原因は①売掛金の増加(回収遅れ)、②在庫の増加(売れ残り)、③仕入債務の減少(支払いサイトの短縮)のいずれかです。まずPLの利益とCFのズレの原因を特定し、売掛金回収サイトの短縮交渉・在庫管理の見直しなど、具体的なアクションにつなげましょう。


ポイント③ 3つのCFの組み合わせで会社のステージがわかる

営業CFがプラスであることを大前提として、将来への投資(投資CF)や借入・返済(財務CF)のバランスを見ることで、会社が今どのようなステージにいるかがわかります。

営業CF 投資CF 財務CF 会社のステージ・状態
プラス マイナス マイナス 本業で稼ぎ、投資・返済も賄える優等生タイプ
プラス マイナス プラス 積極投資のため、本業の稼ぎに加えて借入も増やしている成長期タイプ
マイナス プラス マイナス 本業不振で銀行からも借りられず、資産を切り売りして借入返済に充てている危険水域タイプ

活用のポイント:自社のCFパターンを把握することで、経営の現状認識と次の打ち手が明確になります。「優等生タイプ」であれば積極的な設備投資や借入返済の加速を検討できます。「成長期タイプ」であれば、投資の回収計画と返済能力のバランスを慎重に管理する必要があります。「危険水域タイプ」は倒産一歩手前の危険な状態です。本業の収益改善を最優先課題として取り組むとともに、早急に専門家へ相談することをお勧めします。CFパターンの変化を毎期追うことで、会社の体質の変化をいち早く察知できます。


まとめ

利益を追う「収益性」は車のアクセル、手元資金を守る「安全性・CF」は車のブレーキです。両方を正しく管理することが、会社を長く存続させる秘訣です。流動比率・自己資本比率・営業キャッシュフローの3つを定期的にチェックし、異常値が出たら早めに手を打つ習慣を持ちましょう。

生産性分析・経営分析の総括など、引き続き実践的なテーマを今後の記事で順次取り上げていく予定です。引き続きご覧いただけますと幸いです。