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最終回 目指すべきは「キャッシュリッチ企業」 ~税理士を財務のパートナーとして活用する~
節税の本来の目的は「手元に資金を残すこと」であり、お金が出ていく過度な節税は資金繰りを悪化させるリスクがあること、そして目先の節税が銀行からの融資枠(借入余力)を奪ってしまうジレンマについてお伝えしてきました。
最終回となる今回は、これまでの内容を踏まえ、会社を強くするための「経営の好循環」の作り方と、税理士の正しい活用法について解説します。
ポイント① 節税は事業拡大のための「投資原資」を作る手段
「真の節税」とは、単に支払う税金を減らすことではありません。事業の収益性を高め、結果として会社の手元に残るお金(キャッシュ)を最大化することです。手元に残ったお金は、会社を守る防衛資金になるだけでなく、次の事業拡大に向けた「投資の原資」となります。
成長を続ける強い会社は、例外なく以下のような「経営の好循環」を持っています。
| ① 利益を出す | 本業でしっかり稼ぐ |
| ② 適正に納税する | 無駄な節税で利益や現金を減らさない |
| ③ 融資を受ける | 利益を出しているため銀行の評価が高く、好条件で多額の資金を調達できる |
| ④ 事業に投資する | 潤沢な資金を人材・設備・マーケティングに投資する |
| ⑤ さらに大きな利益を生み出す | ①に戻り、サイクルが回り続ける |
この好循環を回し続け、手元に潤沢な資金を持つ「キャッシュリッチ企業」を目指すことが、どんな不況や環境変化にも負けない会社を作るための有効なアプローチです。
ポイント② 税理士を「節税の道具」にしてはいけない
利益が出始めると、「とにかく税金を安くしてほしい」と税理士に過度な節税策ばかりを求める経営者が少なくありません。しかし、税理士を単なる「税金を減らすための道具」として使ってしまうのは、会社にとって非常に大きな機会損失です。
国家資格を持つ税理士であっても、すべての税務や経営課題に万能なわけではありません。過去の数字を正確に処理する「日々の会計・申告作業」が得意な税理士もいれば、個人の「相続税」に特化した税理士や、会社の未来を見据えた「資金繰りや銀行融資、経営計画の策定」を強みとする税理士などがいます。
もしあなたの会社が事業の成長と資金繰りの安定を望むのであれば、「これなら税金が減りますよ」と目先の節税テクニックばかりを提案してくる専門家ではなく、数年先の会社の状態を見据えてアドバイスをしてくれる専門家を選ぶ必要があります。
ポイント③ 「財務のパートナー」としての税理士活用法
会社を成長させるためには、過去の数字をまとめる「財務会計(税務申告のための会計)」だけでなく、自社のお金の動きを把握し未来の計画を立てる「管理会計(経営のための会計)」の視点が不可欠です。
今、手元にいくら現金があるのか。次の設備投資や採用のタイミングはいつが適切か。銀行からどのように見られており、いくらまでなら借りられるか——こうした「経営の意思決定」に関わるお金の悩みを気軽に相談できる相手は、社内にはなかなかいません。
だからこそ、経営計画書の作成や資金繰りのシミュレーションを一緒に行い、社長の壁打ち相手になれる「財務のパートナー」として税理士を活用していただきたいのです。
まとめ
当事務所のブログでは、「事業計画書の作り方」「決算書と経営分析」「節税と資金繰り」と、一貫して「数字に強い経営」をテーマに情報発信を行ってまいりました。これらの記事が、会社をより良くしたいと願う経営者の皆様にとって、少しでも経営のヒントや気づきになれば幸いです。
当事務所では、適正な納税による社会的信用の獲得と、銀行融資を最大限に活用した資金繰り支援を通じて、地域の企業の成長を全力でサポートしております。自社の財務や資金繰りについて「一度しっかり専門家に見てほしい」とお考えの際は、どうぞお気軽にご相談ください。
※本記事は掲載時点の法令・税制に基づいて作成しています。その後の税制改正等により、記載内容が現状と異なる場合があります。個別の税務判断については、必ず顧問税理士等の専門家にご相談ください。
【参考文献】本連載の執筆にあたり、以下の書籍を参考にさせていただきました。
・『ひとり社長の賢い節税』(杉田健吾 著/明日香出版社)
・『顧問先の銀行融資支援スキル実装ハンドブック』(諸留誕 著/日本法令)
・『激レア 資金繰りテクニック50』(菅原由一/幻冬舎)
