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第1回 経営者のための会計入門 ~財務会計・管理会計・戦略会計、3つの違いとは?~
自社の会計や決算を「税理士に申告を任せているだけ」になっていませんか?「数字は苦手だから」「専門家に任せておけば安心だから」と考える方も多いかもしれません。しかし、事業計画を立て、会社を成長させたいと考える経営者にとって、「会計リテラシー」を身につけることは、自社の経営をコントロールするための強力な武器となります。
今回から始まる新連載では、経営に役立つ会計を「財務会計」「管理会計」「戦略会計」の3つに分け、それぞれの役割と実践的な活用法を解説していきます。まずは3つの会計の決定的な違いを整理しましょう。
ポイント① なぜ経営者が会計を知る必要があるのか——「アカウンタビリティ」の真意
そもそも、なぜ会計が必要なのでしょうか。会計の重要な目的のひとつに「アカウンタビリティ(説明責任)」があります。これは単に「聞かれたら報告すればいい」という受動的なものではありません。
ビジネスの世界において、他人の資本(お金)を預かって事業を行う以上、「損失を被る可能性がある投資家や債権者に対して、自らの仕事ぶりを説明し、合理的に納得させて安心させる」という能動的な責任が生じます。会計は、経営者がこの責任を果たすための「世界の共通言語」なのです。つまり、会社において重要な仕事を「任される人」であり続けるためには、会計を学ぶことが不可欠です。
ポイント② ルールに従い過去を記録する「財務会計(制度会計)」
財務会計は、株主・銀行・税務署などの外部の利害関係者に向けて、過去の業績を示す決算書を作成するための会計です。会社法や税法などの厳格な法制度に従うため「制度会計」とも呼ばれます。なお、税金を正しく計算するための「税務会計」もこの制度会計の一部に位置づけられます。
ただし、画一的なルールに従うがゆえの限界もあります。制度会計の数字だけを見ていても、経営の真の姿や資金繰りのリスクを見誤る可能性があります。だからこそ、経営の実態を映し出す管理会計の視点が不可欠なのです。
ポイント③ 自由にルールを作り、現在と未来を管理する「管理会計」
管理会計は、企業内部で活用するための会計です。外部へ見せるものではないため、法的な縛りはなく、経営の実態に合わせて自由にカスタマイズして使えるのが最大の強みです。
管理会計は独自に別の帳簿をつけるわけではなく、財務会計で蓄積されたデータをベースに、経営判断に役立つ形に加工・再集計して活用します。たとえば、財務会計では「売上高1,000万円」という数字しかわかりませんが、管理会計では同じデータを使って商品別・部門別・エリア別に分解して分析することができます。
財務会計が「現在の正確な位置(座標)」を示す羅針盤だとすれば、管理会計は「これから船をどちらへ進めるか」を決めるための未来志向のツールと言えます。
ポイント④ 時間概念を取り入れ、中長期の未来を見据える「戦略会計」
管理会計をさらに中長期的な視点へと発展させたのが「戦略会計」です。管理会計が主に1年以内の業績管理(予算管理や日常的なコスト管理)を扱うのに対し、戦略会計は3〜10年先を見据え、設備投資・新規事業参入・事業撤退・M&Aといった企業の基本構造を左右する意思決定をサポートします。
ここでは「時間(将来の現金の価値)」の概念を取り入れることが最大の特徴です。何年も先のキャッシュフローを現在価値に割り引いて考えることで、投資の採算を厳密に判定します。
まとめ
財務会計はルールに従って過去を記録し外部へ説明責任を果たすもの。管理会計や戦略会計は、未来の意思決定のために経営者が自由にカスタマイズして使う「経営の武器」です。
月次決算の活用法・資金繰り表の読み方・KPIを使った業績管理・戦略会計の実践など、引き続き実践的なテーマを今後の記事で順次取り上げていく予定です。引き続きご覧いただけますと幸いです。
