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第6回 事業計画書と融資審査の関係 ~金融機関が実際に見ているポイントを解説~
苦労して作成した事業計画書を、金融機関はどのような基準で「採点」しているのでしょうか? 融資審査の裏側や、銀行員が実際にチェックしているポイントを知ることで、事業計画書は単なる「提出書類」から、融資を引き出す「強力なツール」へと変わります。今回は、審査の現場目線で「ここを押さえれば通りやすくなる」という実践的なポイントを解説します。 ポイント① 銀行員が必ずチェックする「審査の3大原則」 金融機関の融資審査において、案件の中身を問わず必ずチェックされる基本的なポイントがあります。それが以下の3つです。 1. 資金使途(何に使うのか) 必要な資金が、設備資金なのか運転資金なのかという使い道です。ここが不明確な融資には応じてもらえません。 2. 返済財源(どうやって返すのか) 貸したお金を何から返すのかという根拠です。銀行は損益計算書上の「利益」ではなく、手元に残る現金である「簡易キャッシュフロー(税引後利益+減価償却費)」を返済財源として見ています。 3. 保全(万が一の時はどうするか) 計画通りにいかず返済できなくなったときに備え、担保や保証人などの回収手段(保全)が確保されているかを確認します。 これら3つは、個人間でお金の貸し借りをする際にも確認する当たり前のことですが、金融機関の審査でも同様に最も重視される大原則です。 ポイント② 融資の合否を分ける「債務償還年数」 事業計画書の数値から、銀行員が「この会社は借り過ぎではないか」を測る最大のモノサシがあります。それが「債務償還年数」です。 債務償還年数とは、「現在の借入金を何年で返済できそうか」を表す指標で、以下の算式で計算されます。 債務償還年数 = 借入金残高 ÷ 簡易キャッシュフロー(税引後利益+減価償却費) 一般的に、銀行の基準では「この債務償還年数が10年以内であること」が正常な会社の目安(10年ルール)とされています。もし10年を超えている場合は「すでに借り過ぎている」と判断され、新たな融資を受けるのは非常に難しくなります。 利益計画から導き出されるキャッシュフローが、この「10年ルール」をクリアできる水準になっているか、提出前にぜひご自身で電卓を叩いてセルフチェックしてみましょう。 ポイント③ 立派な計画書でも落ちる?「経営者の会計理解度」 「数字も整っているのに、なぜか審査に落ちてしまった……」というケースがあります。実は、銀行は書類や数字だけでなく、面談などを通じて「経営者の人物評価」も厳しく行っています。 その中で大きなマイナス評価になってしまうのが、「社長自身が会計(数字)を理解していないこと」です。どれほど丁寧に作り込まれた事業計画書が提出されても、銀行からの「なぜこの売上予測になるのですか?」「資金繰りはどうなっていますか?」という質問に対し、社長が自分の言葉で的確に答えられなければ、「外部の専門家に丸投げして作っただけだ」と見抜かれてしまいます。 社長自身が自社の財務を理解し、数字の根拠を自分の言葉で語れることが、銀行からの「信頼」に直結するのです。 まとめ 金融機関は、「資金使途・返済財源・保全」の3大原則をベースに、「債務償還年数(10年ルール)」で安全性を測り、最後に「経営者自身の会計への理解度」を見ています。これらを意識して事業計画書をブラッシュアップし、自信を持って面談に臨めるよう準備しましょう。 自社の債務償還年数の計算や、銀行員が納得する「根拠のある数字」の作り方に不安がある方は、お気軽に当事務所へご相談ください。社長ご自身の言葉で語れる事業計画づくりを、税理士の視点からサポートいたします。 事業計画書の各論について、今後の記事でも順次取り上げていく予定でおります。引き続きご覧いただけますと幸いです。
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第5回 事業計画書の数値計画とは? ~説得力のある収支計画・資金計画の作り方~
事業計画書の中で、多くの経営者が最も頭を悩ませるのが「数値計画(収支計画・資金計画)」です。 「エクセルが苦手」「計算が合わない」と抵抗を持つ方も多いですが、難しく考える必要はありません。数値計画とは、これまで考えてきたビジネスのコンセプトや実行計画を、「数字」という共通言語に翻訳する作業です。 今回は、税理士の視点から、金融機関を納得させる「根拠のある数字」の作り方を解説します。 ポイント① 売上予測は「希望」ではなく「根拠の積み上げ」 売上予測を立てる際、「右肩上がりでこれくらい売れたい」という単なる希望や根拠のない努力目標を書いても、金融機関からの信頼は得られません。 説得力を持たせるには、売上を「客数 × 客単価 × 購入頻度」といった要素に分解し、それぞれについて客観的なデータに基づいた予測値を設定して、計算根拠を明記することが大切です。 さらに信憑性を高めるテクニックとして、売上計画には「標準」「楽観」「悲観」の3つのシナリオを想定しておくことをお勧めします。特に、想定外の逆風に見舞われた場合の「悲観シナリオ」を用意し、最悪の事態でもコスト削減などで資金繰りを回す対策を明記しておくと、金融機関からの評価は格段に上がります。 ポイント② コスト計画と「逆算」のテクニック 費用を計算する際は、ひとまとめにするのではなく、売上の増減に伴って変わる「変動費(仕入原価など)」と、売上に関係なく毎月一定額発生する「固定費(家賃・人件費など)」に分けて整理するのが基本です。 ここで実務的なアプローチをご紹介します。それは、売上から利益を計算するだけでなく、「下から逆算してつくる」方法です。会社を維持するためには、毎月の固定費や借入金の返済を賄い、将来のための手元利益(内部留保)を残す必要があります。そこから逆算して「最低限達成しなければならない売上高(必要売上高)」を割り出し、その目標が現実的に達成可能かを検証するのです。 ポイント③ なぜ「利益」が出ても会社は潰れるのか? 損益計算書上では利益が出て黒字なのに、手元にお金がなくなり倒産してしまう——いわゆる「黒字倒産」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。 この原因は、会計上の「発生主義(売上が立った日)」と、実際の「現金主義(入金された日)」の間に生じるタイムラグにあります。売上が上がっても実際の入金が翌月末・翌々月末になることはよくあります。売上代金の回収よりも仕入代金などの支払いが先行すると、計算上は利益が出ているのにお金が足りないという事態に陥ります。 金融機関が最も見たいのは「貸したお金がいつ、どうやって返ってくるのか」です。だからこそ、利益だけでなく、お金の出入りを月別に追う「資金繰り表」を作成し、現金の動き(キャッシュフロー)を示すことが事業計画書のキモになります。 まとめ 数値計画は、あなたのビジネスの「熱意」を「信用」に変える強力なツールです。売上の根拠を積み上げ、逆算で必要売上高を確認し、資金繰り表でキャッシュの動きを示す——この3つを押さえるだけで、計画書の説得力は大きく変わります。 ただし、利益と現金のズレの把握や、現実的な逆算計画の作成には、専門的な知識が求められる部分もあります。「数字の作り方に自信がない」「資金繰りに不安がある」という方は、お気軽に当事務所へご相談ください。根拠のある事業計画書づくりを一緒にサポートいたします。 事業計画書の各論について、今後の記事でも順次取り上げていく予定でおります。引き続きご覧いただけますと幸いです
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第4回 事業計画書に書く市場分析・競合分析とは? ~中小企業・創業者向けの現実的な書き方~
事業計画書の中で、「市場分析」や「競合分析」のページにさしかかると、急に筆が止まってしまう方は少なくありません。 「官公庁の難しい統計データをたくさん並べなきゃいけないの?」「正確な市場規模なんてわからない…」と難しく構えていませんか? 実は、金融機関の担当者や投資家は、中小企業やスタートアップに対して、シンクタンクが作るような壮大なマクロ分析や、1円単位の正確な未来予測など最初から求めていません。今回は、背伸びしすぎない「身の丈に合った現実的な分析」で、読み手をしっかり納得させる書き方のコツを解説します。 市場分析の書き方:「正確な予測」より「確かな肌感覚」 市場分析の目的は、「このビジネスには十分に儲かるチャンス(市場の大きさ)がある」ということを客観的に示すことです。 コツ① 壮大な「マクロ」より、足元の「ミクロ」で語る 「日本全体の〇〇市場は数兆円規模で…」といった大きなデータも背景としては役立ちますが、それだけではあなたの会社の売上にどう直結するのかが見えません。 中小企業や店舗ビジネスにとってより重要なのは、「自社が出店・展開する近傍マーケット(ミクロ市場)」です。たとえば、「出店予定地から半径〇kmの商圏人口」「最寄り駅の乗降客数」「周辺のファミリー層の割合」といった、身近で具体的なデータを示す方が、ずっと現実的な説得力が増します。 コツ② 「これくらいの人が、いくら使いそうか」を計算する 市場規模を難しく考える必要はありません。「ターゲットとなる顧客は自分の商圏に何人(何社)いるか」「その人たちは、その悩みを解決するために現在年間いくらくらいお金を使っているか」——この2つを掛け合わせるだけで、大まかな仮説が立てられます。 正確な数字がわからなくても構いません。「大胆に前提条件を置いて推定する」ことが大切です。ビジネスセンスのある「肌感覚の数字」が示せれば、まずは合格点です。 コツ③ 「なぜ今なのか?」を水面下の不満で示す どんなに成熟した市場に見えても、ビジネスチャンスは必ずあります。「なぜ今この事業をやるのか?」を裏付けるには、水面下で高まっている「顧客の不満」や「構造変化」を指摘するのが有効です。 「既存のサービスに不満を持っている層が〇〇人いる」「法改正により、〇〇という新たなニーズが急増している」といった変化のエネルギーを伝えることで、「だから今がチャンスなのだ」という強いメッセージになります。 競合分析の書き方:素人が見て「勝てる!」と思わせる 競合分析の目的は、「強敵がいる中で、どうやって自社が選ばれるのか」を証明することです。 コツ④ 「間接競合(代替品)」を忘れない ライバルを挙げる際、同じ商品・サービスを扱う「直接競合」だけでなく、顧客の同じニーズを満たす別の手段である「間接競合(代替品)」も必ず考慮してください。 たとえば、新しい宅食サービスを立ち上げる場合、競合は他の宅食業者だけでなく、「近所のスーパーやコンビニの惣菜」や「外食・飲食店」も顧客の同じニーズを満たす強力なライバルになります。顧客がこれまで何にお金や時間を使っていたかを考え、最低でも3社程度の競合をピックアップしましょう。 コツ⑤ 素人が「これなら勝てそう!」と直感できる比較表を作る 競合との違いを文章で長々と説明しても、業界に詳しくない読み手にはなかなか伝わりません。最も効果的なのは、「自社と競合のスペック比較表」を1枚作ることです。 縦軸に競合他社、横軸に「顧客が重視するポイント(価格・品質・スピード・アフターフォローなど)」を並べ、自社が勝っている部分に「◎」をつけるなどして視覚化します。「業界外の人がパッと見て、『なるほど、これなら勝てそうだ』と直感的に納得できるか」を基準に、一人よがりにならない比較表を心がけてください。 まとめ 市場分析と競合分析は、難しい学問ではありません。「自分はどこで戦い、誰に、どうやって勝つのか」という極めて現実的な作戦を立てるためのステップです。身の丈に合ったデータを集め、自信を持って自社の優位性をアピールしましょう。 事業計画書の各論について、今後の記事でも順次取り上げていく予定でおります。引き続きご覧いただけますと幸いです。
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第3回 事業計画書の心臓部! ~「ビジョン・事業概要」で読み手の心を掴む書き方~
事業計画書の冒頭にある「ビジョン」や「事業概要」。あなたはここを「単なる挨拶文」や「自分の熱い思いを語る場所」だと思っていませんか? 実は、金融機関や投資家といった読み手は、最初の数行で計画書全体への印象が大きく左右されると言われています。読み手は最初からあなたの事業に強い関心を持っているわけではなく、むしろ「本当に大丈夫か?」という疑いの目を持っています。 今回は、そのネガティブな壁をぶち破り、最初の数行で「このビジネスは面白そうだ」「ぜひ話を聞いてみたい」と読み手を前のめりにさせるための、表現の工夫と書き方のコツを解説します。 冒頭で読み手を突き放してしまう「3つのNG」 まずは、読み手が「この計画書はダメだ」と判断してしまう典型的なパターンを知っておきましょう。 何を売ろうとしているのかわからない(専門用語ばかりで難解) 話が大きすぎて怪しい(抽象的な夢物語ばかり語っている) 儲かるビジネスになる「におい」がしない(事業としての現実感がない) これらを避け、読み手の頭の中に「儲かりそうで、社会の役に立つビジネスの映像」をくっきりと浮かび上がらせるための3つのポイントを紹介します。 読み手の心を掴む「表現の工夫」3つのポイント ポイント① 専門用語を捨て、業界外の人にもわかる言葉で書く 融資や出資を判断する読み手は、あなたの業界の専門家ではありません。自分の技術やサービスの凄さを伝えようとするあまり専門用語を多用すると、相手は理解を諦めてしまいます。 「この分野に詳しくない家族や友人が読んでも、『なるほど、それはすごいね!』と直感的にイメージできる言葉で書く」ことを意識してください。技術的なスペックよりも、「それによって顧客がどれほど役立ち、喜ぶか」を伝えることが重要です。 ポイント② 「機能」ではなく、「誰の痛みを、どう解決するか」を描く 「〇〇という機能を持つアプリを開発します」といった機能説明に終始してはいけません。説得力のある事業概要をつくるには、以下の4つの要素を意識して表現するのが効果的です。 ミッション 実現したい理想の世の中 顧客のメリット なぜその人は買ってくれるのか(どんな痛みが解決するか) コアエッセンス なぜ、買いたくなるのか 自社の強み 他社にはない独自の強み たとえば、「整体・治療院を開業します」と書くだけでは何も伝わりません。しかし「デスクワークで慢性的な肩こりや腰痛に悩むビジネスパーソンが、週1回の施術で痛みを気にせず仕事に集中できるようサポートします」と表現するだけで、誰の悩みをどう解決し、社会にどう役立つのかが具体的にイメージでき、説得力がぐんと増します。 ポイント③ ただの「夢物語」にせず、現実感を持たせる 「5年後に世界中の人を幸せにする」といった壮大すぎるビジョンは、かえって読み手に不安を与えます。夢を語ることは大切ですが、それと同時に「1〜2年後の明確な事業イメージ」をしっかりと書き込むことが鍵です。 市場の構造がどう変化しているから今がチャンスなのか、自社のアプローチでいかに現実的に事業を立ち上げようとしているのかという「客観的な事実」と「ビジネスセンス」を冒頭に少し混ぜ込むだけで、読み手は安心してその後のページを読み進めることができます。 まとめ 冒頭のビジョン・事業概要は、自分の言いたいことを書く場ではありません。「業界外の読み手の頭の中に、具体的なビジネスの成功イメージを描かせる」ための最大のプレゼン領域です。 3つのNGを避け、4つの要素を意識した表現に磨き上げることで、計画書全体の評価は大きく変わります。ぜひ第三者の目線で読み返してみてください。 事業計画書の各論について、今後の記事でも順次取り上げていく予定でおります。引き続きご覧いただけますと幸いです。
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第2回 事業計画書の「基本構成」を知る 〜何を書けばいいかわからない壁を取り払おう〜
事業計画書を作ろうとPCの前に座ったものの、「一体何から書き始めればいいのか…」と手が止まってしまうことはありませんか? 事業計画書には「絶対にこのフォーマットでなければならない」という決まった正解はありません。しかし、相手(金融機関や投資家、社内メンバー)にきちんと伝わる計画書には、共通する「外せない基本の骨格」が存在します。 今回は、事業計画書の全体像を把握し、「何を書くべきか」という最初の壁を取り除くための基本構成を解説します。 事業計画書の全体像は「3つの柱」でできている 事業計画書の項目は多岐にわたりますが、難しく考える必要はありません。大きく分けると、以下の「3つの柱(パート)」で構成されています。 ① ビジネスプラン・コンセプト(定性面) 「何を」「なぜ」「誰に」提供するのかという、事業の根幹となるアイデアや目的をまとめる部分です。 主な項目: 創業の動機・事業ビジョン:なぜこの事業を始めるのか、将来どうなりたいか ターゲット顧客・市場:どんな悩みを持つ、どの市場のお客様を狙うのか 製品・サービスの内容と強み:何を提供するのか、競合他社に負けない独自性は何か ビジネスモデル:どのように利益を生み出す仕組みなのか ② 実行計画(行動面) コンセプトを絵に描いた餅に終わらせず、「誰が」「いつ」「どのように」実現していくのかという具体的なアクションを示す部分です。 主な項目: マーケティング・販売戦略:お客様にどうやって認知してもらい、買ってもらうか 組織体制・経営チーム:誰が実行するのか、どんな経験やスキルを持つメンバーか スケジュール(アクションプラン):目標達成に向けた具体的な手順と期限 ③ 数値計画(定量面) その事業を実行すると「いくら必要で」「いくら儲かるのか」を数値で客観的に証明する部分です。 主な項目: 収支計画(損益計画):売上や経費はどのくらいか、利益は出るのか 資金計画・資金繰り表:初期投資や運転資金はいくら必要か、資金ショートしないか 調達計画:必要な資金を自己資金でまかなうのか、金融機関から借りるのか 「何を書けばいいかわからない」を解決する3つのコツ コツ① まずは「6W2H」のメモ書きから始める いきなり立派な文章を書こうとすると挫折しがちです。まずは以下の「6W2H」の要素を意識して、箇条書きでメモすることから始めてみましょう。 What(何を) 商品・サービスの具体的な内容 Why(なぜ) 事業に取り組む動機・目的 Whom(誰に) ターゲット顧客 Where(どこで) 提供する場所・商圏・チャネル When(いつ) 開始時期・スケジュール Who(誰が) 人員体制・役割分担 How to(どのように) 販売方法・戦略 How much(いくらで) 必要な資金・売上・価格 この8つの要素を埋めるだけで、事業計画に必要な情報が網羅され、論理的なストーリーが自然と見えてきます。完璧な文章でなくて構いません。まずは思いつくままに書き出してみてください。 コツ② 既存のフォーマット(雛形)を活用する 自分でゼロから目次を考える必要はありません。例えば、日本政策金融公庫が用意している「創業計画書」のフォーマットは、必要最小限の基本項目がA3用紙1枚にコンパクトにまとまっており、頭の整理や最初のたたき台づくりに最適です。 「まずこの用紙を埋めてみる」というアプローチは、創業融資の申請に限らず、事業の全体像を整理する第一歩として多くの経営者に活用されています。 コツ③ 相手によって「重点を置く項目」を変える 第1回でも触れましたが、事業計画書は「誰に見せるか」によって、手厚く書くべき項目が変わります。 融資目的の場合:「数値計画(特に資金の使い道と返済能力)」と「なぜ売れるのかという客観的な根拠」が重視されます。 社内共有の場合:「実行計画(誰がいつまでに何をするか)」への落とし込みが重視されます。 基本の構成を押さえたうえで、目的に応じてボリュームを調整しましょう。 まとめ 事業計画書は「コンセプト」「実行計画」「数値計画」の3つのブロックに分けて考え、まずは「6W2H」のメモ書きから始めることで、作成のハードルはぐっと下がります。 「完璧なものを一度に仕上げよう」とせず、まずは骨格を作ることを目標に取り組んでみてください。 事業計画書の各論について、今後の記事でも順次取り上げていく予定でおります。引き続きご覧いただけますと幸いです。
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第1回 事業計画書とは? ~作成する意義・活用方法と【目的別】4つの作成パターン~
「事業計画書を作りたいが、何から手をつけていいかわからない」「金融機関から提出を求められたが、どう書けばいいのか」——そんなお悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。 実は、事業計画書は単なる「提出書類」ではありません。会社を成功へ導くための「経営の羅針盤」です。この記事では、その本質と全体像をわかりやすく解説します。 事業計画書を作る「意義」とは? まず、なぜ事業計画書を作るのか——経営者自身にとっての「対内的な効果」をご説明します。 意義① 頭の中のアイデアを「見える化」できる 経営者の頭の中にある構想やアイデアを言語化し、くっきりとした輪郭を与えることができます。「なんとなくイメージしていたもの」が、紙に落とすことで具体的な形になります。 意義② リスクと課題を事前に洗い出せる 頭で考えているだけでは気づかなかった課題や見逃していたリスクが浮き彫りになります。「書いてみて初めてわかった」という経験は、多くの経営者が口にします。 意義③ 経営の「ぶれ」を防ぐ羅針盤になる 事業計画は、目標(目的地)を定め、現在の自社の姿を確認し、そのギャップを埋めるための指針です。これがあることで、忙しい日常の中でも判断軸を保つことができます。 事業計画書の「活用方法」——4つの役割 事業計画書は、誰に・何のために見せるかによって役割が変わります。大きく4つの「顔」を持っています。 ① コミュニケーションツール 金融機関、投資家、取引先、あるいは社内の従業員・家族など、さまざまな関係者に事業の魅力を伝え、信頼や協力を得るためのツールです。 ② アイデア整理ツール フレームワークに沿って書き出すことで、新しい事業アイデアを抜け漏れなく整理できます。「考える」ことと「書く」ことはまったく別の作業です。 ③ 実行支援ツール 目標を達成するために「誰が・いつまでに・何をするか」を明確にし、事業推進の安心材料になります。 ④ 仮説検証ツール 新規事業は「仮説」の連続です。実行結果と計画を比較し、「何がうまくいき、何が違ったのか」を検証するための基準になります。 どんな内容を作るか?【目的別】4つの作成パターン 事業計画書は、目的や見せる相手によって「力点を置くべきポイント」が変わります。代表的な4つのパターンをご紹介します。 パターンA:金融機関からの資金調達(融資)向け 審査のポイント:「貸したお金が確実に返ってくるか(返済能力)」 熱意だけでなく、売上・利益の予測とそこから導き出されるキャッシュフロー(返済財源)が、客観的な数値データに基づいて現実的かつ論理的に説明されていることが求められます。 パターンB:社内共有・実行管理向け 審査のポイント:「社員が迷わず行動できるか」 会社のビジョンや目標数値に加え、各部門や担当者が具体的に何をするのかを示す「アクションプラン(行動計画)」への落とし込みが重要です。 個人事業主や小規模法人でも、「自分自身が迷わないための行動計画」として十分に活用できます。 パターンC:補助金・助成金の申請向け 審査のポイント:「公募要領(制度の趣旨・審査基準)に合致しているか」 自社の強みを活かした事業の革新性や生産性向上の見込みなど、審査員に評価されるストーリー性と要件への適合が求められます。融資と異なり返済不要ですが、採択審査があります。 パターンD:投資家(VC等)への出資申請向け 審査のポイント:「事業がどれだけ大きく急成長(スケール)するか」 対象市場の大きさ(市場規模)、他社を圧倒する競争優位性、そして将来的に投資家に利益を還元するための道筋(エグジット戦略)が厳しく問われます。 まとめ 事業計画書は、自分の頭の整理から外部への資金調達まで、会社の成長ステージや目的に合わせて使い分けるものです。「提出書類」と身構えず、まず「自分のための経営ツール」として捉え直してみてください。 事業計画書の各論についても、今後の記事で順次取り上げていく予定です。引き続きご覧いただけますと幸いです。
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AIを活用した業務効率化(その3)
3月末ごろまで落ち着かない日々が続いておりましたが、 ようやくホームページの更新に着手できるくらいに時間が取れるようになってきました。 昨年6月の記事で、AIを使って申告書のチェックリストを作ろうと試みたものの「現時点では難しい」という結論を書きました。 あれから約1年経ちましたが、状況はかなり変わっています。 正直、この1年のAIの進化のスピードにはかなり驚かされています。 「少しずつ使えるようになっていくだろう」という感覚でいたのですが、 気づけば業務のいたるところで実際に使えるツールになっていました。 現在、主にClaudeとNotebookLMを中心に使っています。 Claudeの主な活用事例 ・チェックリストのたたき台作成 ・事業計画書のたたき台作成 ・顧問先管理表や業務進捗管理表の作成 ・事務所の基本理念・行動指針といった憲章のブラッシュアップ といった場面等で活用しています。 もちろんすべてをAIに任せるわけではなく、あくまでたたき台や素材を作ってもらい、 そこから自分で手を入れていく、という使い方です。 NotebookLMの活用 こちらはGoogleが提供するツールで、自分でアップロードした資料をもとに質問に答えてくれるものです。 国税庁の資料など税務関連の情報を読み込ませることで、調べ物のスピードが格段に上がりました。 税務の判断は最終的には法的根拠に基づいて税理士が行うものですが、その前段階の調査や整理の部分をAIがサポートしてくれることで、 より深いところに時間と思考を使えるようになっています。 結果として、ご質問への回答スピードが上がったり、検討の精度が上がったりといった形で、 顧問先の皆さまにも還元できるのではないかと思っております。 まだまだ進化の途中ですし、使いこなすための試行錯誤は続いていますが、「補助ツール」という位置づけから、 「業務に組み込まれた道具」という感覚に変わってきています。 引き続き、実務に役立てられる形を探りながら取り組んでいこうと思います。
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近況報告
最近は蒸し暑い日が続いていますね。夏バテ気味の方もいらっしゃるかもしれませんが、体調など崩されていないでしょうか。 私の方は7月に入ってから少しずつ開業に向けた準備を進めているところです。 銀行の口座開設や融資の手続きなど、ようやく実務的な部分での動きが出てきました。 また、会計ソフトについても徐々に整備を進めておりまして、マネーフォワードはすでに会員登録を完了しています。 8月上旬にはfreee会計のアカウント登録も行う予定で、 最終的には freee、マネーフォワード、弥生会計の3つの会計ソフトに対応できる体制を整える予定です。 クライアントの皆さまの使用環境やご希望に柔軟に対応できるよう、選択肢を広く持っておきたいと考えています。 さらに、10月末ごろを目途に池袋の拠点は残しつつ、新たな事務所への移転も予定しています。 引っ越しに向けての準備もあり、しばらくは公私ともにバタバタした日々が続きそうですが、 無理のないペースで一つひとつ進めていきたいと思っています。 また準備の進捗や何か新しい動きがありましたら、こちらでご報告していく予定です。 引き続き、よろしくお願いいたします。
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AIを活用した申告書チェックリストの作成(その2)
ここ1〜2か月ほど、ChatGPTを使って申告書のチェックリストを効率的に作成できないか試していました。 AIについて、税務の実務でもうまく活用できる場面があるのではないかと思い、実験的にいろいろと試しております。 実際に使ってみた印象としては、 ・文章の校正・整形については、かなり実用的に使える ・税務資料の要約については、それっぽくはなるが、法解釈の誤りやニュアンスのズレも見られるため精査が必須 ・複数の資料を読み込ませたうえで、体系的にチェックリストを生成する、といった使い方は現時点では難しい という感じでした。 正直なところ、現状でももっと利用価値の高いツールになると期待していたのですが、専門的な分野での利用価値については限定的で、現状では部分的な補助ツールとしての利用にとどまりそうです。 ただ、文章の見直しや構成を整えるといった作業には十分使えそうなので、そういうところでは今後も取り入れていこうと思っています。 ちなみに先日、知人からGeminiは法律の分野に強いらしいという話を聞きました。 以前から興味を持っていて、少し触ってはいたのですが、時間が取れそうな7月以降に本格的に色々と試していこうと思っています。 AIを活用した業務効率化については、まだまだ「一気に劇的に変わる」といった段階ではないようですが、少しずつでも実務に活かせる形を見つけていければと思っています。 また何か進展があれば、こちらで報告させていただきます。
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AIを活用した申告書チェックリストの作成
最近は土日の時間を利用してChatGPTやGeminiの活用方法を模索しております。 AI活用の一環として、申告書のチェックリスト作成を依頼してみましたが、 依頼の仕方が悪いのか、少々物足りない結果となりました。 挙げられた項目が少なかったため、今後はやり取りを重ねながら、 より実務に即したリストへとアップデートしていく予定です。 また、これまでは主にChatGPTを利用していましたが、 Geminiもバージョン次第で非常に有用であると感じました。 今後は他のAIツールにも触れ、業務に活かせるよう、積極的に活用してまいります。
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